一瞬、毎日新聞、厚労省の見解に絶句した。薬の長期投与を可能にしたのは誰ですか?
鬱病患者が希死念慮を抱いて心療内科、精神科を受診するのは当たり前のことだからだ。
しかも、抗うつ薬、向精神薬に関しては初期投与量はある程度決まっており、当初から、副作用の把握の必要もあり過量投与はありえない。
もちろん、医師との信頼関係もあり、必要であれば入院等の選択肢も考えなければいけない。
医師としては、一生懸命、クライアントの言葉に耳を傾け、話も聞くし、原因となるストレッサーや遺伝負因等細かく聞いていくのは当たり前のことであろう。
初診から希死念慮を抱いてくるクライアントには、かなりの時間をかけて診察し、必要な場合は家族等を呼んで説明し、支持、保護的な環境をお願いしたりする。
ただし、例えば鬱と一言で言うが、それが、二次的に、例えば、人格障害レベルであったり、適応障害レベルであったり、発達障害レベルであったり、統合失調症、双極性障害レベル等、様々な鬱は存在する。
危険であると判断した場合、保護的環境を要請するのは当たり前と言える。
ただし、残念ながら、それが届かないこともあるだろう。
急性期のクライアントに対しては、私は少なくとも週一回の面接を持つ。
週に二回のこともある。
そして、病気の説明、場合によっては、婉曲的に本人が驚かないように、たとえ話を使って説明したりと工夫している。
同時に、治るという「気」を送ったりもしている。これはこれで結構繊細且つ消耗する作業でもあるが。
治癒に長くかかるクライアントもいる。その場合、相手を信頼して、処方をしているのであり、
余った薬に関しては、間違えて飲んではいけないと持って来てもらう。
そういう意味では、今のところ、私のクライアントで、過量投与で問題があった人はいない。
ODは精神科に携わる医師として経験することであり、私も経験している。
クライアントを信じて、何が悪いのかとも思う。相手を信じて、二人三脚で寛解にむかう、それが医道ではないのか?
ただし、私がクライアントを信じていても、クライアントは私を信用していないかも知れない。
対人関係で等価交換という事象はありえない。
いや、あり得ないということでなく、起こりうるのだが証明できないという方が正しいだろう。
で、過量投与の件に戻るが、、、、、、
大量服薬をする人達の背景を考察しなければいけないと思う。
この記事だけだと、持続性気分障害やBPDに関するものかと疑いたくもなる。
厚労省は、過量投与を医師に対して注意を促している。
では、逆に問うが、死にたくなるような社会を作り出しているのは誰かと聞きたい。
医師が処方をするのは、クライアントの為と思っていても、薬をため込み、ODに至ることは珍しくない。自殺を覚悟しているクライアント程、医師に偽って薬をため込むケースもある。
うちら精神科医が漫然と処方を出しているみたいな、そういう報道にはむかつくし、そこまで言うのなら、きっちりデータ見せろよと言いたくなる。
ただ、、、
現代社会は、人が人として生きていける、そういう生き方だったり、夢だったりを提示できているのか?絶望的な社会を作り出しているのはなんだと考えているのか?
ただし、やはり大事なのは患者さんとの信頼関係であると考えている。ごく当たり前の事だが。
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向精神薬:過量投与に注意促す…厚労省が日医などに初通知
医療機関で処方された向精神薬を飲んで自殺を図る人が増えている問題で、厚生労働省は、処方する際に長期、多量となるのを避けるなど細心の注意を払うよう日本医師会(日医)などの関係団体や自治体に通知した。厚労省によると、国が自殺予防の観点から医療機関に向精神薬の過量投与に注意を促すのは初めて。
通知は24日付で、都道府県や政令市のほか、精神医療にかかわる日本医師会、日本精神科病院協会、日本精神神経科診療所協会など8団体の責任者にあてて出された。
厚労省研究班が遺族との面接を通じて自殺者76人について調査したところ、半数が死亡前の1年間に精神科か心療内科を受診。このうちの約6割が、直接の死因でない場合も含め、処方された向精神薬を自殺時に過量服薬していた。
通知はこうした調査を基に、患者が自殺する可能性を考慮して向精神薬の投与日数や投与量に一層の配慮をするよう求めている。
向精神薬を巡っては自殺や自傷目的で大量に飲んだとして消防が救急出動した件数が、データのある札幌市、東京都、大阪市、北九州市の4都市で08年までの10年間で約2倍に増えていたことが毎日新聞の調べで判明している。【江刺正嘉、奥山智己】
via mainichi.jp
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