今日の朝、出勤しようとまさに家を出ようとしたその際、、、
携帯電話がなった。クリニックからだ。
事務員から
「○○さんという人が、クリニックの前に座っていて、今日、倒れたらしく、クリニックに行けばなんとかなると思って、いらしてます。ただ、仰っていることが、なんというかもうろうとしている感じでお金も持っていないとのことです。どうしたらいいでしょう?」
○○、う~ん、名前だけでは記憶に無い。とりあえず、警察に保護してもらうか、場合によっては救急隊の対応をしてもらうように指示し、すぐクリニックに向かう旨を伝える。
クリニックに向かう途中、再度携帯がなる。到着時間はわかっているのに呼び出されるのは、何か緊急なのかと考え、車を停車させ、事情を聴くことに。
なんでも、○○さんは一年前、うちのクリニックに通院していたこと。簡単な病歴を聞くと彼のことを思い出した。
今回の経緯は、○○さんが路上で倒れていたことが発端だということが判明した。その後、通行人の通報で警察官到着、救急隊要請をしたらしい。ここまでは良い。当然の手順である。
救急車到着後、次第に会話が可能になった彼は、自分の名前、住所、そして、意識朦朧の中、我がクリニックの名前を絞りだしたのである。その中で、今、お金も持っていないし、一人暮らしであることも告げられたという。
Vital signも外傷の後も、そして事件、犯罪性も無いと判断した、警察、消防は、「では、そのクリニックが開くまでまっていなさい。」と彼を放置していった。
本日の東京地方は朝方からかなり暑く、熱中症もあり得る状態であった。
私は、○○さんを緊急で診察するから、とりあえずクリニックの中の休憩室に入れろ、と指示をしたところ、事務員から驚きの言葉が、、「警察の人が、なんで、まだクリニックにいなければいけないんだと怒ってますが、、」
はぁ?お前らが放置したんやろが!!事務員に「後、10分で副院長が着くから、待たせておけ!」と指示を出し、予想より早めに到着。
クリニックに着くなり、事務員に、クライアントに急患が入ったので診療時間が遅れることをアナウンスさせ、あほ警官とのバトル開始。
しかも警官下っ端。状況確認しようとしたら、下っ端はろくに状況を把握しておらず、
上司と携帯で電話をし、その電話の上司と対談するはめに。
私「まず、お伺いします。○○さんは倒れていたところを、通報されたんですよね。」
警官「警官が発見し、救急要請しました。」
私「意識を失って倒れていたんですよね。」
警官「はい。それで救急要請しました。」
私「では、どのくらい意識を失っていたかわからないな、、、警察の方が見回りなので発見ですか?」
警官「いえ、通行人の通報です。(をい、ここから、まず、情報がおかしいがな、、)」
私「わかりました。それで?」
警官「救急車の中で意識が回復し、問題無いと判断し、家に帰るか、クリニックに行くかと聞いたところ、クリニックに行くと言うので、では、クリニックの前で診療時間まで待っていなさいという話になりました。」
私「何か、意識を失うきっかけとかは明らかでは無いのですね?」
警官「XXX(抗不安薬)を呑んだと言ってました。」
私「なら、大量服薬なんですか?」
警官「あぁ、どうですかね。」
私「大量服薬だったら、情報が得られない段階で救急搬送が通常の手続きだと思うのですが?」
警官「薬の名前もわからないものですから。」
私「救急隊は医師に確認しましたか?」
警官「救急隊の判断です。」
あほか????????
意識レベルが低下して、歩行もままならない患者を、このクソ暑い中、熱中症になるかもしれない、しかもクリニックの休診日も確かめずに、放置したってわけだ。
私「しかし、急な意識消失もあるのに、単身とわかっている彼を放置するというのは、どうなんですかね?」
警官「彼が言ったことですから、、、」
私「倒れていた後、もうろうとしていたんでしょ?」
警官「はぁ。」
私「それ、そのまま、彼には自分で診察や帰宅できる能力があると判断したからですよね。ただ、私は、彼をクリニックに連れる際、男手が必要なくらい歩行困難になっていたということを知っています。」
警官「(無言)」
私「一刻を争うかもしれませんので、緊急の診察とさせて頂きます。ただ、思うのですが、倒れて意識消失があり、例えば、あなたや、あなたの身内が、倒れていて、救急隊になんでもないといわれ、クリニックの前で放置されたら、どんな気持ちになるのですかね?医療従事者、警官以前の話だと思いませんか?」
警官「はい。ただ、我々は事件性が無いということもありますし、救急隊の判断です。」
もう、絶句。
そして、○○さんを緊急で診察。幸いバイタルは安定している。ただ、意識レベルに関しては、一年前の彼とは明らかに違う。もうろうとしており、会話も歩行も困難である。かろうじて聴取できたのは、一年前完全に良くなり、仕事もきちんとできていた。数日前まで元気に仕事も行けていた。三日前から、頭痛、めまい、吐き気がしており、不眠がちになっていた。その後、心配になり抗不安薬を4錠内服してみたが変わらなかったということ。(全然、大量服薬ではない!!) その後、話しかけるも、傾眠傾向、受け答えがおかしく、頭痛をずっと訴えるため、先程の警官を呼び出し、改めて、救急搬送依頼をかけた。
まず、器質的疾患を除外するべきであるし、一旦保護してクリニックに連絡するのが、人道として筋ではないだろうか?案の定、クリニックの休診日もご存じない。そして、この真夏日の中、クリニックの前に患者放置という非人道的な行為。
勉強してくれ!ってか、それ以前、人として、どうかって話だろ。受け答えもおかしい、歩行もままならない、意識レベルも低下しているクライアントをクリニックの前に放置し、クリニックに一言も連絡ないって。
警官も救急もどこかおかしいっちゅうねん。
それとも、精神科受診歴があり、ふらついているだけで、これは精神疾患の為と判断したのであったら、精神疾患を患うクライアントにとって、偏見、無知、もっといえば差別にあたる行為である。
警官であれば、せめて交番で座らせてあげて、クリニックに連絡するなり、家族に連絡するなりの手段があっただろうに、それもしていない。家族への連絡は私がした。
救急隊も、本人が「大丈夫です。」と言うのを鵜呑みにしたと言っている。しかし、あきらかに意識レベルは低下しているし、歩行もふらふらってわかるだろう。しかも、倒れているところを発見されたのだから、CT,MRIは必須ではないのか?意識レベルの下がったクライアントの言葉を信用しました、みたいな事を言っている。馬鹿?じゃあ、せめて家族連絡くらいとれよ。しかも、この暑い中に、クリニックの前に放置。お金も無く、水分も取れないなら、死ぬぞ。熱中症って言葉くらいご存じですよね。
てなわけで、ポリとバトルし、結果、予約のクライアントを一時間待たせてしまいました。一人一人にお詫びし、昼休みをつぶして対応。今日は幸い私を信頼してくださっているクライアントの方がほとんどだったので、なんとか診療を無事にすませる事ができました。
警官って、人の安全を守るのは義務ではないのですか?
救急隊の方々、お忙しいのは承知ですが、今回のケースは精神疾患だからというフィルターがかかっていませんでしたか?予防医学という見地から放置はあり得なくないですか?
我がクリニックは、院長も副院長の私も、クライアントの為には武闘派となります。
院長はかつて、相当武闘派の精神科医でした。
時代は変わるものの、私も武闘派です。我がクリニックの良き伝統は変わりません。
○○さんが無事でクリニックに戻っていらっしゃるのをお祈り申し上げる次第です。
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